ズボラ夫の男性育休 123×222日

1.23生まれの娘と始める男性育休222日の軌跡。京大出たのに専門卒の嫁の尻の下。俺のスゴさはブログで出すぜ!男性育児、男性育休、家族の資産形成、育休中の勉強法、プログラミングについて書きます。

【お金ブックレビュー】生命保険のからくり①

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先日年金に関するまとめ記事を書いたところ、高評価をたくさんいただくことができました。

読んでくださったみなさんありがとうございます。

今回は生命保険について勉強した内容を2回に分けて書いていこうと思います。
生命保険の手数料が高すぎる件は色んな所で指摘されていますが、この本を読むと衝撃の事実が明らかに・・!

今回読んだ本はこちら。

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

  • 作者:岩瀬 大輔
  • 発売日: 2009/10/17
  • メディア: 新書
 

この著者の岩瀬大輔氏はネット系生命保険大手の『ライフネット生命保険』の創業者であり、現社長です。
実は僕10年ほど前に京大の友人の紹介で岩瀬さんと食事をしたことがあります。
ライフネット生命を創業されたのが2008年のことだったのでちょうど拡大期に入っていたころだったと思います。

岩瀬さんといえば東京大学法学部在籍中に司法試験に合格し、その後ハーバードビジネススクールを卒業されているバリバリのエリートです。
たしかそのころに世界最年少で何かすごい何かをもらっていたのを食事のときにお聞きしましたが忘れました。

その岩瀬さんが創業後に書かれた、生命保険の内部事情をあらゆる角度から暴露するのがこの本です。

とはいえ岩瀬さんはバリバリその業界の中の人なので、主張をそのまま鵜呑みにする危険性があるとは思っています。
実際最終的な結論としては『ライフネット生命で提供しているタイプの保険が良いよ』ということにはなっているので、それ以外の業界全体の問題点みたいなところに絞ってこの記事は書こうと思います。

生命保険の問題点

  • ユーザが負担する手数料が極めて高く不透明
  • 長らく規制の名のもとに異常な慣習がまかり通っていた
  • バブル崩壊の負債を今なお背負い続けている

僕は本書を読んで生命保険の問題点は上の3点に集約できると考えました。

規制産業にありがちないわゆる”親方日の丸”。
異常な慣習がまかり通りユーザから搾取しながらおよそ健康とは言えない太り方をしながら、バブル崩壊で一気に負債を背負ったような業界なんだなと僕は感じました。

順番に見ていきましょう。

ユーザが負担する手数料が極めて高く不透明であること

良い借金」と「悪い借金」 賢者はお金をどう借りる? | ANA Financial ...これは僕が資産運用をする際のバイブルとしている山崎元さんが再三言っており、このブログでも何回か書いていますが、生命保険は本当に手数料が高いと言われています。

実際それがいくらか僕も知らなかったのですがこの本にはこう書いてあります。

一般的な掛け捨て生命保険では保険料の35%〜62%が手数料

つまり払い込んだ保険料のうち半分しか保障に回されず、残りは生保レディへのキックバックを始めとする経費や生保会社の利益に回されるわけです。

たけぇぇぇぇ(絶句を禁じえない)

手数料と言っても明示的にユーザに示されるわけではなく、色んなセールストークでごまかされ、その内訳は業界の慣習として長く開示されませんでした。

特に日本の場合は最盛期50万人と言われるような生保レディと呼ばれる外訪員に多額のキックバックを渡して販路拡大していたことはご存じの方も多いのではないでしょうか。

最近では『保険の窓口』のように無料相談をうたいながら裏側でキックバックを受け取る形態もよく見かけます。
これも無料と言いながらあながたが支払う保険料の中から相談料が支払われているという事実をきちんと認識する必要があります。

この本では、ギャンブルのテラ銭(手数料)はパチンコ20%、競馬25%、宝くじ50%。
生命保険はそれより悲惨なギャンブルだ、と言っています。

※テラ銭の話は前に詳しく記事にしています

www.zuboraikuji.com

長らく規制の名のもとに異常な慣習がまかり通っていた

生命保険業界は自由競争が認められておらず、全て監督官庁の認可が必要な業界でした。
そのために正しい競争が起きず、業界ならではの慣習が発達し、言い方は良くないですが顧客を食い物にしてきたという歴史があるようです。

実際に先進国同士で比較した場合も、日本の保険料は米英と比較して2倍〜4倍であること、そして利益率も倍以上あるというデータが本書で示されています。

約10年前に競争を自由化する規制緩和があって以降、外資系の保険会社も数多く参入していますが、それでも諸外国に比べてなお高い保険料が課せられていることを見ると依然として日本はドル箱状態であることがうかがえました。

バブル崩壊の負債を今なお背負い続けている

日本株暴落、五輪特需の消滅… 刻々と忍び寄るバブル崩壊の引き金

バブル真っ只中のときに作られた高利回りの保険で各社販売数を競っていたそうですが、バブル崩壊で一気に資金繰りが悪化し、破綻する生命保険会社がたくさんありました。

というのも、生命保険料として徴収されたもののうち、実際の保障に充てるのは一部であり、それ以外の部分を運用するというのが常態化していたということです。

そこで利回り5%!
みたいな保険商品を売りまくり、裏側ではそれ以上の利回りで運用することができればさらに保険会社は稼げるというカラクリになっているわけです。

しかしバブル崩壊以後日本は長期の不景気となり、長期金利も低迷したことから裏側の運用よりも客に渡すほうが多くなる【逆ザヤ】の状態が発生しました。

生命保険は商品の性質上何十年という長期で契約しますから、保険会社としてもバブル期に約束した契約を30年間やり続ける必要がありずっと赤字が発生してしまうということです。
(逆にユーザから見るとかなり得なので『お宝保険』と呼ばれたりするらしい)

そのために20社のうち7社が破綻する事態に発展しました。

しかし生き残ったとしても多額の損失が出ている事実は変わりません。

そのマイナスを埋めるために、保険金を理由をつけて払わなかったり、死亡率を高めに見積もって保険料を算定したり、より利率の悪い保険に丸め込んで乗り換えさせたりということがかなり長い期間行われていたそうです。

最悪やな・・

最近では損失を埋めるために裏側の運用をリスクの高い株式などで運用せざるをえなくなり、うまくいけばいいですが、万一今回のコロナショックのようなことが起きてしまうと一気に破綻しかねないというような状況が起きているみたいです。

おまえら会社としての生命保険作れよ

と思っちゃいますね。

というわけで長くなってきたので今回はこのあたりで。
次回はいよいよ保険の本質を解説していきます。

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